ピラティスではコアを中心に語られることがほとんです。
コアを安定させて手足を動かす
これがピラティスの真髄でもあります。
では実際のコアとはどこのことになるのでしょうか?
今回は基礎的なインナーマッスルの構造とトレーニング方法についてお伝えします。
ピラティスで鍛えるインナーマッスル1「腹横筋」
腹部には4つの腹筋があり、一番深層で面積の大きいのが腹横筋になります。
腹横筋を上部・中部・下部に分けていきましょう。
<腹横筋の働き>
・上部線維は胸郭の安定性に関与
・中部線維は胸腰筋膜を緊張させ腰椎の安定性に関与
・下部線維は仙腸関節の安定性に関与
(Urquhart,2005)
面積の大きい筋肉なので症状とどの繊維が関係しているかをチェックしていきましょう。
次にどんな運動で働くか?をみていきましょう。
1腹横筋の中部→ドローイン
2腹横筋の中部・下部→同側の体幹回旋
3腹横筋の上部→反対側への体幹回旋
になります。
一般的なドローインでは腹横筋の中部がメインで働きます。ポイントは体幹の回旋で腹横筋が働くこと。ニュートラルな体幹のポジションを作りながら体幹の回旋をすることでインナーマッスルが賦活されます!
腹横筋トレーニング
ニュートラルポジションはこちらで解説↓↓
このポジションを維持しながら体幹の回旋運動と表層にあるアウターマッスルを働かせるトレーニングが重要です。
ピラティスで鍛えるインナーマッスル2「多裂筋」
多裂筋は脊柱の伸展筋ですね。
表層=脊柱起立筋
深層=多裂筋
なので、もちろん多裂筋は大事です。腰痛患者の多裂筋は萎縮し、脊柱起立筋の過活動が起こるのは有名な話。ってことは多裂筋を鍛えた方が良いのですが、どのような運動がベターでしょうか?
多裂筋トレーニング
シンプルに
四つ這いでの上肢・下肢挙上運動
です。
他にはサイドブリッジが有効です。
以下の研究では体幹同時収縮の研究で。
四つ這い・お尻あげ・逆ブリッジ・サイドブリッジ・腹式呼吸を比較したものです。もっとも同時収縮(多裂筋と内腹斜筋)が起こるのはサイドブリッジという報告になっています↓
不安定性が高まる肢位ではインナーマッスルが賦活するってことですね!ちなみに下にある肘で床をプッシュすることで前鋸筋〜腹斜筋にも刺激が入るので、肩関節疾患の人にもオススメです。
ピラティスで鍛えるインナーマッスル3「横隔膜」
横隔膜も面積が大きく繊維ごとに3つに分類されています。
胸骨部:剣状突起に付着
肋骨部:肋骨7〜12の内側面に付着、腹横筋と合流
腰椎部:弓状靭帯が大腰筋と腰方形筋、腹横筋と筋膜を通してつながる
みなさん知っている通り吸気で横隔膜が下降し、呼気で上昇し、安静時呼吸の70-80%を担います。この横隔膜の緊張によって胸腔内圧が高まれば腰椎の剛性が高まり安定します。
ちょっと面白い研究があって。
・腰痛患者の横隔膜は健常者と比較して薄く、呼吸のテンポが早い
・横隔膜の下降自体も小さい
・上肢や下肢に負荷をかけた時には横隔膜の活動が低下し、高くなる
などのデータがあります。
ざっくりいうと横隔膜しっかりと機能させましょうね〜!ってことです。
横隔膜トレーニング
様々な方法があります。もちろん深呼吸でも働きます。呼吸についてこちらの動画の前半で解説しています↓(画像クリックしたら動画に飛びます)
ポイントは
・お腹を樽状に360度膨らむように呼吸をする
・下部肋骨は側方へ、上部肋骨は前方に膨らむ
ですね!
ピラティスで鍛えるインナーマッスル4「骨盤底筋」
骨盤底筋は3層に分かれています。
1層:臓側骨盤隔膜
2層:骨盤隔膜(肛門挙筋、尾骨筋)
3層:尿生殖隔膜
骨盤底筋の多くは遅筋であり姿勢保持筋として働いています。他のインナーマッスルと共同収縮を起こして体幹を安定させる筋群ですね。
1つ知っておいて欲しいのは呼吸・横隔膜との関連性です。
吸気:横隔膜は求心性収縮で下方へ、骨盤底筋は遠心性収縮下方へ
呼気:横隔膜は遠心性収縮で上方へ、骨盤底筋は求心性収縮で上方へ
この運動の関連性は知っておきましょう。
骨盤底筋に問題がある人はこの運動の連鎖が崩れてしまいます。骨盤底筋の評価は会陰腱中心の触診を行う必要があるのですが、日本ではなかなかデリケートなのでむずかしいですよね。
1つの指標として呼吸パターンが胸式優位で、後頚部や腰背部を過剰に緊張させた呼吸をしている場合は機能不全を疑いましょう。
主に骨盤底筋のトラブルが起きるのは妊娠・出産・肥満・加齢・仙腸関節機能不全・姿勢不良(胸椎後弯)など。
姿勢とマッスルバランスをしっかりと戻すことが大事になりますね!
骨盤底筋のトレーニング
この動画で説明しています。
ポイントは
1まず硬くなっている骨盤底筋を緩める
2骨盤の前傾・後傾を行う
3呼吸と連動させる
4姿勢を変えて行う
です!
ピラティスで鍛えるインナーマッスルのまとめ
- 腹横筋
- 多裂筋
- 横隔膜
- 骨盤底筋群
これら4つのインナーマッスルを満遍なく刺激することがピラティスにおいて重要になります。
ぜひみなさんのセッションにお役立てください!!