膝窩筋(Popliteus)

本日は膝窩筋というややマイナーな筋肉の紹介です!
もしかしたら聞いたことがない方もいるかもしれませんが、
この筋肉はO脚の改善に非常に役立ちます!
是非この機会に覚えてみてください笑
しばしば見落とされがちな存在である膝窩筋。
実は、立位・歩行・階段昇降といった日常動作においても、膝関節の安定性と微細な運動制御において、
その繊細な働きが重要です。
今回は、ピラティスやリハビリテーション指導に役立つ視点から、膝窩筋の構造と機能、エラー動作、そして実践的なエクササイズまでを解説していきます。
解剖学的特徴
膝窩筋が軽視されがちな理由
皆さん膝裏の筋肉というと何を思い浮かべますか?笑
おそらくハムストリングスやガストロを思い浮かべる方多いのではないかな?と思います。
膝窩筋は「小さな筋」「深層にある筋」であり、陰に隠れて忘れられがちです。
しかし実際は、膝関節を“ロック解除”し、後方安定性を確保する非常に重要な役割を持っています(Lundberg & Odenrick, 1983)。
さらに、下腿内旋の作用もあります。
O脚は下腿が外旋しており、膝が外側に向いております。

下腿を内旋方向に誘導することで、O脚の改善にも役立ちます。
なぜ重要か?(臨床・指導現場との関連)
膝窩筋は、次のような場面で特に重要です
- 歩行時の膝関節制御:
- スイングフェーズ終盤〜立脚初期にかけて、膝の安定化と滑らかな接地に関与
- 階段昇降やスクワットなど、屈伸を伴う動作:
- 他の膝屈筋と異なり、安定性を保ちながら膝屈曲の“導入役”を果たす
- 靭帯損傷後の代償的安定化:
- 後十字靭帯損傷などで、膝の後方安定性が失われたケースで、膝窩筋の強化が有効とされます(Lundberg & Odenrick, 1983)
要するに、
膝の初期屈曲を先導する膝後方安定化筋という事です。
この働きが失われると歩行時に膝が不安定となりそうなのは想像できますね!
起始・停止
起始・停止(きっちりバージョン)
起始:大腿骨外側顆(外側関節包および外側半月とも連結)
停止:脛骨後面の上部(内側)
走行:外側から内側後方に斜めに走行し、膝関節後面を補強
神経支配:脛骨神経(L4〜S1)
作用:
- 膝関節の屈曲開始(ロック解除)
- 膝関節の内旋
- 膝関節後方の安定性補助
はい!医療従事者の方は上で100%覚える用にしてくださいね!
患者さんにお伝えする為にもしっかり覚えましょう!
インストラクターの方は下でゆるっと抑えましょう!
走行さえ大体で抑えておけばOKです
起始・停止(ズボラバージョン)
【ズボラ起始】太ももの外側の骨の裏
【ズボラ停止】すねの後ろ上の方→つまり「太ももの外側から、すねの後ろ上に斜めに走る小さな補助筋」
硬いとどうなる?
膝窩筋が硬くなると、膝関節の“解錠”がスムーズに行えず、膝を自然に曲げる動作で引っかかりが生じます。
歩き出しや階段を降りる場面などで、膝が“つっぱる”ような感覚が出ることもあります。また、膝関節後面に不快感や違和感を訴えるケースも。
膝の屈曲〜伸展の滑らかさが失われ、代償としてハムストリングスやふくらはぎの筋に過緊張が生じやすくなります。
簡単なチェック方法としては膝を伸ばした時に膝裏の奥に違和感がないか確認すると良いです。
弱いとどうなる?
膝窩筋が弱くなると、膝の後方安定性が低下します。これは、膝が“逆方向に抜けそうな感覚”や“支えられていない不安定感”として現れやすくなります。
立位で膝が過伸展(反張膝)になる人では、この筋の弱さが関与している可能性が高いです。
また、膝を内旋・外旋させる微細な調整機能が失われ、膝関節のねじれストレスが高まり、慢性膝痛や半月板障害を引き起こすこともあります。
最初に紹介したように、下腿を内旋に引き込めない為、O脚のリスクも高まります!
立ち上がりの際に膝が外側に向くため、立ち上がりの膝外の違和感にもつながります!
指導現場でよくあるエラー例
膝窩筋が関与する動作エラーをここからは紹介します。
サクッと回答していきますね!
スクワットやランジで膝が不安定になる
膝膝窩筋には前述したように下腿内旋の作用があります。
この筋が弱いと下腿が内旋方向に引き込めず、膝が外側に傾き、外側にぐらついて不安定になります。
膝窩筋の機能低下は、膝関節の回旋制御不全を引き起こし、動作中の不安定性につながると報告されています(Amis & Dawkins, 1991)。
立位で膝が反りすぎる(反張膝)
膝が曲がるきっかけを作る膝窩筋が弱ると、歩行時に膝が過度に伸展され、反張膝が生じやすくなります。
膝窩筋の弱化は膝後方支持機構の低下を招き、反張膝や動作中の伸展過多を助長すると報告されています(LaPrade et al., 2010)。
支える役目の膝窩筋が弱くなると、骨性安定性だけに依存してしまうということです。
ストレッチとエクササイズ
ここからは機能改善に対するストレッチとエクササイズの紹介です!
①膝窩筋ストレッチ
- 目的:膝裏全体の筋肉を伸ばす。下腿を外旋方向に誘導すると起始停止が離れます。
- 方法:タオルを足に引っ掛け足を持ち上げて膝裏を伸ばす
- ポイント:余裕があればつま先を外に向けて膝窩筋に最大限ストレッチ!
②膝窩筋意識のブリッジ
- 目的:膝窩筋を使用した状態でのブリッジ
- 方法:つま先でボールを挟んでブリッジを行う
- ポイント:ボールを挟む意識が強くて膝が内股にならないように注意
まとめ
本日は膝窩筋についてまとめした!
以下要点です!
- 膝窩筋は、膝関節の“後方安定性”と“ロック解除”を担う、極めて重要な深層筋
- 小さい筋だが、立ち上がり・歩行などの質を左右する
- 不安定な膝・反張膝・膝裏の違和感がある人は要チェック
膝窩筋の重要性を感じていただけた方は是非指導の際に取り入れてみてください!