ピラティスのスワンができない5つの原因を解剖・運動学からひもとく!

こんにちは!Nピラティス

インストラクターの保坂です。


今回はピラティスの代表的なエクササイズである 「スワン(Swan)」 について解説します。


スワンは胸を開き、

背骨をしなやかに伸ばす動きが特徴で、

猫背や肩こりの改善、姿勢の美しさアップにとても効果的です。


また、腰痛予防や体幹強化、ピラティス初心者から上級者まで幅広く取り入れられる人気のエクササイズです。

この記事では、

よくある間違いや注意点を、

解剖学的な視点を交えて詳しくご紹介します!


ぜひ最後まで読んで、日々のピラティスに役立ててください。



目次

スワンができない理由を解剖学から

スワンは胸椎伸展と肩甲帯の安定を中心に、

体幹全体の連動性が求められるエクササイズです。


シンプルに見える動きですが

「腰が反ってしまう」

首だけで代償してしまう」

「上半身が上がらない」

といった悩みが多く聞かれます。


ここではスワンができない理由を、

解剖学・運動学の観点から5つに整理してみましょう!


理由1:胸椎伸展可動性の不足

胸椎伸展の役割

胸椎は、

屈曲・回旋・側屈に比べて伸展可動性が制限されやすい部位です。


しかし、

スワンでは胸椎の伸展が十分に出ることが、

背骨全体のしなやかなカーブを作る鍵になります。


胸椎が硬いと、

腰椎での過伸展に逃げてしまい、

腰の詰まりや痛みにつながります。

弱いとどうなる?

胸椎伸展が出ないと、

頸部の過伸展や腰椎代償が顕著になります。


特に胸椎下部(およそT9〜T12)が動かないと、

腰椎で伸展するしかなくなる為、

腰痛を抱えるクライアントでは症状悪化のリスクがあります。

改善のステップ

胸椎伸展を引き出すには、

以下のショルダーブリッジ編でも紹介した、

フォームローラーを使った伸展エクササイズが非常におすすめデス!


フォームローラーがない人は、

丸めたタオルなどで代用してもグッドです!

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理由2:肩甲骨安定筋の弱さ

肩甲骨安定の役割

スワンでは、

肩甲骨が下制・内転し、胸郭に安定している必要があります。


僧帽筋下部・前鋸筋・菱形筋などの協調が不可欠です。


これが機能しないと、

上肢の荷重を支えられず首や腰に負担が移ります。

弱いとどうなる?

肩甲骨が安定しないと、

クライアントは上体を持ち上げるときに僧帽筋上部や広背筋を過剰に使います。



その結果、

肩がすくむ・肘が外に広がる・首に緊張が走るといった代償が起こります。


胸椎伸展との連動性が失われるため、

動きがぎこちなくなります。

改善のステップ

おすすめは、

壁を使用したプッシュアップです!


四つ這いでも良いのですが、

初心者だと、

壁の方が非常に理解してもらいやすいです(理由としては重力の影響が少ないので、負荷も少ないから)


肩甲骨が寄らないようにプッシュすることにより、

前鋸筋の感覚を高めることができます!


理由3:腹圧コントロールの不足

腹圧の役割

スワンでは背面伸展にフォーカスされがちですが、

実は腹圧による体幹安定が欠かせません。



腹横筋や多裂筋を中心としたが働くことで、

腰椎の過伸展を防ぎながら胸椎を自由に動かすことができます。

弱いとどうなる?

腹圧が抜けると腰が反りやすく、

腰椎椎間関節にストレスが集中します。


また、

肋骨が前に開きすぎて胸郭が前方シフトし、

結果的に胸椎伸展も阻害されます。


改善のステップ

解決法としては、

スワンの際に伸展方向の意識が強いと腹圧が抜けやすい傾向にあるので、

「吐く息に合わせて鳩尾を引き上げるようなスワン」

に修正すると良いと思います!


息を吐くことにより肋骨が閉じられ、鳩尾を引き込もうとするから

腹斜筋のスイッチが入るからです!


理由4:頸椎の過伸展パターン

頸椎の役割

スワンでは胸椎から連動する頸椎の自然な伸展が必要です。


しかし、

多くのクライアントは胸椎が動かない分、

頸椎だけで視線を上げて代償してしまいます。


これは椎間関節や後頭下筋群への過負荷を招きます。

弱いとどうなる?

頸部だけが大きく反って、

「首で上げている」

ようなフォームになります。


その結果、

後頭下筋群が過剰に収縮し、

頭痛や首こりの原因にもなります。


特にデスクワークの多いクライアントでは頸椎過伸展パターンが強く現れます。

改善のステップ

仰向けでタオルを潰す顎引きエクササイズなどがおすすめです!

顎を引き込む感覚を促通して、

椎前筋などの頸部のインナーのスイッチを入れてあげましょう!


顎に卵を挟んでいるようなイメージでスワンをしてください!

などの、

動き方のイメージを伝えるキューイングも有効です。


理由5:股関節伸展筋の弱さ

股関節伸展の役割

スワンでは脚を後方に長く伸ばし、

骨盤を安定させる必要があります。


このとき、

股関節前面の柔軟性大殿筋・ハムストリングスの協調性が重要です。


これらが働かないと骨盤が前傾し、

腰椎伸展に頼る動きになります。

硬いor弱いとどうなる?

腰椎に依存して胸を持ち上げるフォームになり、

腰へのストレスが強くなります。

腰を反らして最終域の進展を作るのではなく、

股関節の伸展で殿筋を働かせながら高さを作るのが大事です!

改善のステップ

現場で多いのは、

股関節前面の硬さがあり伸展ができないパターンです!


なぜなら、

現代人は、

デスクワークなど座ってする仕事が多いので股関節屈曲位の時間が長いから

です。


なので、

最終域の伸展が出ない人は股関節の伸展系のエクササイズがおすすめです。


スワンができない!を解決するまとめ!

スワンができない背景には、

胸椎伸展の硬さ

肩甲骨安定筋の弱さ

腹圧のコントロール不足

頸椎過伸展パターン

股関節伸展筋の弱さ

といった多くの要因が絡み合っています。


改善のためには、

モビライゼーションとアクティベーションを組み合わせ、

徐々に全身の連動性を引き出していくことが鍵になります。


クライアントの課題に応じてプレップや補助エクササイズを選び、

少しずつ「胸から長く伸びる美しいスワン」へ導いてあげましょう。


指導者としては「胸椎が動いているか?」「肩甲骨は安定しているか?」「腹圧は抜けていないか?」といった観察ポイントを押さえ、代償の根本を見極めることが大切です。

FAQ:スワンに関するよくある質問

Q1. スワンで腰が痛くなるクライアントにはどう対応すればいいですか?
A1. 胸椎伸展が不足し、腰椎に代償が集中している可能性があります。胸椎モビライゼーションを取り入れ、胸椎から動きを引き出すよう指導しましょう。
  また、腹圧の保持を強調することも有効です。

Q2. スワンのとき肩がすくむのを防ぐには?
A2. 肩甲骨安定筋の弱さが関与しています。肩甲骨下制を意識させるプレップや、前鋸筋・僧帽筋下部を活性化するエクササイズを取り入れると改善につながります。

Q3. 首だけで反ってしまうクライアントには?
A3. 頸椎の過伸展パターンが出ているため、胸椎の動きを出すことが最優先です。同時に「首を長く保つ」「顎で卵を挟む」といったキューを加えると頸椎への負担を減らせます。

Q4. 初心者にはどのようにスワンを導入すればよいですか?
A4. まずはスワンプレップやスフィンクスで胸椎伸展を練習し、徐々に負荷を上げていきます。呼吸と腹圧のコントロールを確認しながら、段階的に進めることが重要です。

Q5. 股関節の安定が弱い場合はどうサポートする?
A5. レッグリフトやヒップエクステンション系の補助エクササイズを取り入れ、大殿筋とハムストリングスを強化しましょう。「脚を長く遠くに伸ばす」意識を持たせることで骨盤が安定します。股関節前面が硬いパターンはストレッチです!

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