外腹斜筋の解剖学〜ゼロからわかる解剖学〜

本日は体幹トレでよく挙げられる有名な筋肉でもある外腹斜筋の紹介です!

「ひねると腰が詰まる」
「ツイストで左右どちらかが動かしにくい」
「くびれの左右差が気になる」

こうした悩みがある方は、外腹斜筋の状態を一度チェックしてみるとよいかもしれません。

外腹斜筋は、腹筋群のなかで一番外側に位置する筋肉で、体をひねる・横に倒す・呼吸するなど、様々な動作に関わっています。

見た目ではくびれに大きく影響し、内腹斜筋や腹横筋とともに体幹の安定や姿勢維持にも貢献しています。

今回はこの外腹斜筋について、
「なぜ重要なのか?」「どんな働きをしているのか?」「どんなストレッチやエクササイズが有効か?」を詳しく解説していきます!


目次

外腹斜筋の解剖学的特徴を知ろう!

外腹斜筋は、肋骨から骨盤に向かって前下方に斜めに走る大きな筋肉です。

その走行は、内腹斜筋と交差するように配置され、体幹の回旋・側屈・前屈を司ります。

お腹の前面では腹直筋鞘に合流し、背面では胸腰筋膜とつながり、前・横・後ろすべてに影響を持つ構造を形成しています。

とくに、反対側に体を回す(回旋)動きにおいて強く働くことが特徴で、たとえば右の外腹斜筋は左へのツイストに関与します。

また、第5〜12肋骨に付着していることから、呼吸時の肋骨の可動にも関与しており、浅い呼吸・猫背姿勢・代償動作などとも深く関わっています。


起始・停止(きっちり&ズボラver.)

ここからは筋肉の起始・停止をチェックしていきましょう!

まずは医療従事者さんや解剖マニア向けの「きっちりver」から解説していきます。


◎きっちりver

  • 起始:第5〜第12肋骨の外側面
  • 停止:腸骨稜、鼠径靭帯、白線

作用

  • 体幹の側屈(同側へ体を倒す)
  • 体幹の回旋(反対側へひねる)
  • 体幹の屈曲(両側収縮で前に曲げる)
  • 腹圧上昇・呼吸補助(肋骨の動きに関与)

次はインストラクターさん向けの「ズボラver」!

走行のイメージだけざっくり掴みましょー!


◎ズボラver

  • 起始:あばらの横(肋骨の外側)から
  • 停止:骨盤の前ポケットのあたり(腸骨)とお腹の真ん中ライン(白線)

作用

  • 体を横に倒す
  • 体を反対側にねじる
  • お腹を前に曲げる
  • 呼吸の補助をする(肋骨を動かす)

「どっちで覚えるか」はお好みでOK!

覚えやすい方で捉えてみましょう!


構造を意識すると、動きとのつながりがぐっとわかりやすくなりますよ!


硬いとどうなる?

外腹斜筋が硬くなると、「ひねる・倒す・呼吸する」といった体幹の自然な動きが制限されやすくなります。

特に起こりやすいのは以下のような変化です:

  • 体を左右にねじる動きが左右非対称になる
  • 深呼吸時に肋骨の動きが制限され、胸式呼吸に偏る
  • 猫背や肋骨下制が強調されることで、内臓の圧迫や胃の不調につながる
  • ラテラルライン(体の側面の筋膜連結)の緊張が増し、肩や腰の張りが強くなる

つまり、動作の可動域を奪うだけでなく、姿勢や呼吸の質までも落としてしまう要因となるのです。

また、外腹斜筋は胸腰筋膜を介して広背筋や腰部ともつながっており、その影響は肩〜腰の広範囲に及ぶことも知られています【Willard et al., 2012】。

長時間の猫背姿勢やデスクワークだとこの外腹斜筋が短縮位となる為、硬くなりやすい傾向にあります。


弱いとどうなる?

一方で、外腹斜筋が弱くなると、体幹の回旋・側屈の安定性が低下し、代償動作や姿勢の崩れが現れやすくなります。

代表的なサインは以下の通り:

  • ツイスト系エクササイズで腰が先に動いてしまう
  • 体をひねるときに骨盤まで一緒に動いてしまう(分離できない)
  • 呼吸が浅く、腹圧が抜けやすくなる
  • 脇腹のたるみ、くびれの左右差

さらに、外腹斜筋が弱くなると、内腹斜筋や腹横筋が代償的に働くようになり、過緊張や筋疲労を起こすこともあります【Park et al., 2014】。

つまり、見た目のシルエットだけでなく、動作の質・身体の安定性そのものに影響してくるのです。

バンザイした時に肋骨が開いて反り腰になるのも弱い例でよく起きる代償です!


よくあるエラー例

四つ這いのツイストで肘や肩優位になる

ツイストの動きの中で体幹ではなく肘や肩だけが先に回ってしまう代償動作がよく見受けられます。


この例では同じ側の外腹斜筋が硬い例や反対側の外腹斜筋が弱い例など外腹斜筋が関与している可能性があります。

どちらが原因にしても、体幹の回旋の動きが優位になるよう、胸から回すようにイメージ作りをしてあげることが大事です!


腹筋動作で上半身が持ち上がらない

外腹斜筋の出力低下があると肋骨の引き込みが上手くできず、腹筋動作で上半身が起こすことが困難になります。

この場合は単純な外腹斜筋の筋力強化が必要です。

リフト系で肋骨を抑えられない

ブリッジ動作で外腹斜筋の出力が弱いと、胸腰椎移行部に差し掛かった際に肋骨が前方に飛び出るような代償が出ます。


この代償は腹部でコントロールができず、脊柱起立筋や広背筋の過緊張の症状が出現します。

要するに、お腹が弱いから腰が反る様にお尻が上がってしまうというイメージです!


ストレッチとエクササイズ

ストレッチ:マーメイド・ツイスト

  1. 座位スタート
  2. 上側の手で虹を描くように反対側へリーチ
  3. 胸を天井に向け外腹斜筋へストレッチをかける

ポイント:肋骨と骨盤を引き離すような意識を持つと、外腹斜筋の走行に沿ってしっかり伸ばせます!

エクササイズ:カールアップ

  1. 仰向けに寝て、両膝を立てる
  2. 両手を前ならえした状態で、上体を軽く起こす
  3. 上体を下ろす際もなるべくゆっくり

ポイントなるべく指先を遠くへ伸ばす意識を持つと前鋸筋も繋げて鍛える事ができます


まとめ

外腹斜筋は、体幹の機能性・美しさ・安定性を支える重要な筋肉です。

「ただの脇腹の筋肉」ではなく、

  • 姿勢を整える
  • 呼吸の質を高める
  • ひねる・倒す動きをスムーズにする
  • 体幹の左右差を補正する

といった役割を果たしています。

くびれの見た目だけでなく、機能的な体幹の使い方のためにも、柔軟性と筋力の両面からアプローチすることが大切です。

ぜひ、日々のストレッチやピラティスの中でこの筋肉を意識してみてください。

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