大臀筋はお尻の表面の大きな筋肉。
- ヒップアップ
- 腰痛予防、改善
- 骨盤の歪み
- 姿勢
にも影響する大臀筋。
ではどんな形をしていて、解剖学的な特徴をしているのでしょうか?
今回の解剖学は「大臀筋」をテーマにします。
Youtubeで大臀筋を理解する!
大臀筋の解剖学的特徴
大臀筋はお尻についている筋肉で、単一筋としては人体で最大の面積です。
この大臀筋はヒップラインを綺麗にするのはもちろんですが、姿勢にも影響を及ぼします。
Sway back姿勢では、腸腰筋のほか、大殿筋の上下で有意な活動の減少がみられた。
ロードスでは、腸腰筋、腰部多裂筋、大殿筋下部の活動が有意に低下した。
Effect of standing postural deviations on trunk and hip muscle activity(Fujitani 2017)
悪い姿勢では、大臀筋を使わないため、弱りやすくなってしまいます。
大臀筋は、骨盤の後ろにある仙腸関節を安定させる働きもあります。
弱ってしまうと関節が不安定になるため、腰痛とも密接に関わっているんですね!
その他にも、
・ヒップラインが下がる
・姿勢が悪くなる
・腰が痛む
・膝など他の関節に負担がかかる
などの不調をきたしやすくなります。
では、インストラクターの皆さんは、この大臀筋がどこについていて、どんな働きがあるか理解していますか?
解剖の知識を理解していれば、
- どんなエクササイズが効果的で
- どんな代償動作が出やすいのか
まで考えることができます!
今回は大臀筋を解剖から理解し、明日から使えるPointをお伝えします!
大臀筋の起始・停止は?
まずは、大臀筋がどこについているか確認しましょう!
【起始】
仙骨後面、胸腰筋膜、仙結節靭帯、上後腸骨棘、腸骨の後方
【停止】
上部:腸脛靭帯 下部:臀筋粗面
【作用】
股関節伸展、外転(上部)、内転(下部)
簡単にまとめると、骨盤の後ろから大腿骨の後ろについています。
もう少し専門的にみていくと大腿骨だけでなく、腸脛靭帯にもついています。
このように大臀筋は腸脛靭帯にもついています。
そのため、大臀筋が硬くなっている場合は、この腸脛靭帯も伸長され硬くなってしまいます。
筋膜ローラーで、いくら太ももの外側をほぐしても良くならない方は、お尻のストレッチも試してみましょう!
2つの大臀筋の作用とは?
大臀筋は大きな筋肉なので、筋肉の中でも作用が異なります。
上部:股関節を外転(足を開く)する
下部:股関節を内転(足を閉じる)する
このように繊維によって働きも変わってきますので、エクササイズにもコツが必要です。
一般的に、多くの現代人は大臀筋の下部繊維が弱くなっていることがほとんどです。
胸腰筋膜と大臀筋の関係性とは?
次は、インストラクターなら理解しておきたい胸腰筋膜との関係について、
大臀筋は胸腰筋膜とも連結があります。
胸腰筋膜は背中から体幹を安定させてくれる組織です。
ですが、大臀筋の筋力低下や柔軟性低下が生じていると、
胸腰筋膜への負担が大きくなってしまいます。
反り腰で腰痛がある方は、胸腰筋膜から考えてみるものいいですね!
だいぶ長くなりましたが、抑えてほしいPointは
・大臀筋は骨盤の後ろから、大腿骨の後ろについている筋肉!
・腸脛靭帯との付着している!
・上部線維は外転、下部繊維は内転に作用する!
・胸腰筋膜とも付着している!
実際に大臀筋に触ってみよう!
大臀筋の解剖を理解したところで、実際に触ってみましょう!
筋肉の起始・停止と走行がわかった上で、実際に筋肉を触ると筋肉をより詳しく理解することができます。
実際の体では、
- 皮膚の上から触る必要がある
- 筋肉が何層にもなっており、直接触れられない筋肉もある
まずは、骨を指標にすることが重要です!
1、大転子を触る
2、股関節を上に上げる(伸展)
3、お尻で盛り上がる筋肉が大臀筋!
大臀筋は一番表層にある大きい筋肉なので、簡単に触診することができます。
今回はもう少し細かく、上部・下部を分けて触ってみましょう!
まずは、上部線維から!
1、大転子を触る
2、股関節を上にあがたまま外に開く(伸展+外転)
3、お尻で盛り上がる筋肉が大臀筋上部線維!
大臀筋上部線維は股関節外転作用があるため、伸展+外転で筋肉の盛り上がりが触知できます!
次は下部線維です!
1、大転子を触る
2、股関節を上にあげたまま内に閉じる(伸展+内転)
3、お尻で盛り上がる筋肉が大臀筋下部線維!
大臀筋の解剖学からわかるストレッチ方法
では、大臀筋のストレッチをしてみましょう!
こんな人にオススメです。
・腰痛
・太ももの外が張りやすい
・デスクワーカー
・反り腰
大臀筋が硬いと骨盤を後ろに引っ張ってしまいます。
結果的に骨盤の動きを制限してしまい、腰椎へのストレスが大きくなってしまいます。
腰の負担軽減には、お尻のストレッチがオススメです!
今回は、2つのストレッチをご紹介します!
一つ目は、座ってできるためデスクワーカーにオススメです!
大臀筋を伸ばすためには骨盤の前傾を維持させることが重要です。
次は広背筋〜お尻を伸ばしていきましょう!
胸腰筋膜はお尻だけでなく、広背筋にもついています。
お尻と広背筋を一緒に伸ばしてあげることが効果的です!
大臀筋の解剖学からわかるエクササイズ
次にエクササイズ方法をお伝えします!
今回はオススメのエクササイズを2つお伝えします!
一つ目は、四つ這いの姿勢で足を上げていきましょう!
膝を曲げることで、ハムストリングスの代償を抑制することができます!
よくある代償として、腰椎の伸展が生じやすいです。
頭〜お尻まで真っ直ぐをキープしましょう!
次はブリッジです!
股関節外転位→上部繊維
股関節内転位→下部繊維
が鍛えられます!
参考:ハムストリングスと大殿筋上部・下部線維における筋活動バランス(木村 2014)
歩行では、
歩行において、大殿筋下部線維は立脚初期に股関節伸展作用にて股関節屈曲の制動に関与し、上部線維は立脚初期や立脚中 期に股関節外転作用にて股関節内転に伴う骨盤の遊脚側 への下制に対して制動に関与する
ペリー歩行分析 正常歩行と異常歩行.pp87–97,医歯薬出版
簡単にまとめると、
足がつくとき→下部線維が働く
片足の時→上部繊維が働く
少し専門的ですが、
このように、解剖の知識があると、さらに細かく動作を評価できるようになります!
どの部位を鍛えるかを考えながらエクササイズを組み立てられると、指導のレベルはグッと上がります!
大臀筋のまとめ
解剖学の知識があることは大きな武器です。
解剖を理解していると、エクササイズ指導の質もグッと上がります。
実際の触り方やコツなどが知りたい方は、ゼロからわかる解剖学セミナーで待っています!
解剖の知識をつけて、目の前のたくさんの人を救っていきましょう!