腓腹筋の解剖学的特徴
腓腹筋はふくらはぎの裏にある筋肉で、ヒラメ筋と合わせて下腿三頭筋と言われることもあります。
日常的に、この腓腹筋は踵を上げるときや歩行中で地面を蹴るときに働きます。
腓腹筋は、内側頭と外側頭に分かれており、特に内側頭の方が筋肉の断面積が大きく、歩行中も活動が大きいと言われています。
立脚での全周期において筋電図積分値は内側頭が外側頭より優位に高値を示した。
歩行の加速時における腓腹筋の内側頭と外側頭の筋活動の違い(岡山 2019)
また、下腿三頭筋は姿勢を安定させるためにも重要な筋肉で、
立位でこれらの筋肉が持続的に収縮することで、1度に満たない足関節変位の管理を可能にしている。
立位姿勢の制御(長谷 2006)
との報告もあります。
他にもふくらはぎの張りが気になる方では、前方重心になりやすく、この腓腹筋やヒラメ筋が過活動になっている場合も多いです。
では、実際に腓腹筋はどこに付いていて、どんな時に筋肉が働くかを理解していますか?
解剖の知識を理解していれば、
- どんなエクササイズが効果的で
- どんな代償動作が出やすいのか
まで考えることができます!
今回は腓腹筋を解剖から理解し、明日から使えるPointをお伝えします!
腓腹筋の起始・停止は?
まずは、腓腹筋がどこについているか確認しましょう!
【起始】
内側頭:大腿骨内側上顆、膝関節包後面
外側頭:大腿骨外側上顆
【停止】
踵骨隆起
【作用】
足関節底屈、膝関節屈曲
簡単に説明すると、膝の後ろから踵についています!
腓腹筋の働きとしては、足関節底屈と膝関節屈曲です。
細かく見ると、大腿骨の後ろについているため、膝の屈曲作用もあります。
腓腹筋はヒラメ筋と合わせて下腿三頭筋と言われることもありますが、その違いの一つは
- 腓腹筋は大腿骨に付き、ヒラメ筋は下腿に付く
です。
腓腹筋は膝関節と足関節の2つの関節を跨ぐため、膝と足の動きに関与します。
ヒラメ筋は1つの関節しか跨がないため、足関節の動きにしか関与しません。
このヒラメ筋と腓腹筋の違いを理解できていれば、ストレッチやエクササイズをするときに、それぞれを分けて考えることができます!
他にも腓腹筋はハムストリングスとも密接に関わっています。
その理由として、写真のようにハムストリングスと腓腹筋は絡み合うようについています。
変形性膝関節症で膝が伸びにくい方は、この腓腹筋とハムストリングスの重なっている部分の動きをよくしてあげることで、膝が伸びやすくなったり、痛みが減ることもあります。
そのため、
- 腓腹筋の走行がイメージできる
- 実際に腓腹筋に触れる
ことが重要になります。
実際に腓腹筋に触ってみよう!
解剖を理解したところで、次は実際に腓腹筋を触ってみましょう!
筋肉の起始・停止と走行がわかった上で、実際に筋肉を触ると筋肉をより詳しく理解することができます。
実際の体では、
- 皮膚の上から触れる必要がある
- 筋肉が何層にもなっており、直接触れない筋肉がある
- 人によって体や筋肉の大きさは異なります。
腓腹筋は表層にあり、比較的わかりやすい筋肉です。
筋肉を収縮させて確認してみましょう!
触る順序としては、
①膝を伸ばしたまま、つま先を伸ばす(底屈する)
②浮き出る筋肉が腓腹筋
内側の方が、筋断面積が大きく筋肉もわかりやすいです。
最初は、内側から触ると筋肉が把握しやすいと思います。
腓腹筋の内側頭は、関節包という関節を覆っている袋のようなものにも付いています。
腓腹筋内側頭は膝を深く曲げる時に、この関節包の挟み込みを防ぐ働きがあると言われています。
腓腹筋の内側頭は後方関節包にも付着しており、膝関節屈曲時に関節包を後方へ引き寄せることにより、挟み込みを防いでいる。
機能解剖学と触診(編集 工藤慎太郎,羊土社)
そのため、膝を深く曲げた時に後ろで詰まる感じや挟み込まれる感じがある人は、腓腹筋がうまく働いていない可能性もあります。
腓腹筋のストレッチ方法
筋肉の位置関係が理解できたところで、ストレッチ方法をご紹介します!
足首が硬い
前屈がつかない
むくみやすい
などの症状がある人は、腓腹筋をストレッチしましょう!
膝が曲がっていると、腓腹筋は縮んでしまうため、うまくストレッチされません。
そのため、膝を伸ばした状態でストレッチするのがPointになります!
では、実際にストレッチしてみましょう!
これはみなさん一度はやったことがあるアキレス腱伸ばしです!
Point、
- 膝が曲がらないように
- つま先が外に向かないように
です。
他にもこんな方法があります。
こちらがアキレス腱伸ばしよりも伸び感が強いと思います。
壁があれば、小さなスペースでもできるためオススメです!
ふくらはぎが疲れやすい方や浮腫みやすい方への自主練習で指導してみましょう!
どちらのストレッチも膝が曲がっていると、腓腹筋が縮んでしまうため、ヒラメ筋のストレッチになってしまいます。
膝が曲がらないように注意しましょう!
腓腹筋のエクササイズ
それでは、腓腹筋のエクササイズをご紹介します!
腓腹筋の付着しているアキレス腱は捻れて踵の骨に付着しているという特徴があります。
直線でついているわけではないので、様々な方向で鍛えるのが効率的です!
また、筋肉が一番伸びた状態から収縮させることで効率よく鍛えることができます。
最後に
解剖の知識があることは大きな武器です。
解剖を理解しているとエクササイズ指導の質もグッと上がります。
実際の触り方やコツなどが知りたい方は、ゼロからわかる解剖学セミナーでお待ちしています!
解剖の知識をつけて、目の前のたくさんの人を救っていきましょう!