長母趾伸筋・長趾伸筋の解剖学的特徴
長母趾伸筋・長趾伸筋は、足の指を上に上げる筋肉です。
あまり有名な筋肉ではないため、筋肉の特徴など知らない方も多いのではないでしょうか?
これらの筋肉は浮き趾などに関わる筋肉です。
足趾伸筋群が緊張することでMP関節 で過伸展し,これに伴い足底筋膜が短縮されて内側アーチが上昇した浮き趾が存在することが推察される
成人における足趾接地の実態と浮き趾例の足趾機能(福山 2009)
また、浮き趾の場合足趾に荷重がしにくいため、重心が後ろに移動しやすくなります。
前方移動能力は、男女とも正常群に比べ、浮き趾群で有意に低下がみられた。
浮き趾例における足趾機能(福山 2014)
このような状態では、
重心が崩れるだけでなく、足底からの感覚も入りにくくなるため姿勢不良につながってしまいます。
そのため、姿勢を修正していくために、足部を整えてあげることが重要だと理解できます。
では、浮き趾に関わる長母趾伸筋や長趾伸筋がどこについていて、どんな働きがあるか理解していますか?
解剖を理解していれば、
- どんなエクササイズが効果的で
- どんな代償が出やすいのか
まで、考えることができます!
今回は、長母趾伸筋と長趾伸筋を解剖から理解し、明日から使えるPointをお伝えします!
長母趾伸筋・長趾伸筋の起始・停止は?
まずは、長母趾伸筋と長趾伸筋がどこについているかを確認しましょう!
では長母趾伸筋から!
【起始】
下腿骨間膜、腓骨内側面中央
【停止】
趾の趾背腱膜、末節骨底、基節骨底
【作用】
第1趾伸展、足関節背屈
簡単に理解すると、脛の真ん中から親指の先までついています!
この筋肉の働きとしては、
- 指を上にあげる(母趾の伸展)
- 足首を上にあげる(足の背屈)
です!
次は、長趾伸筋です。
【起始】
脛骨外側顆、腓骨前縁、下腿骨間膜、下腿筋膜
【停止】
4本の腱に分かれ、第2〜5趾の趾背腱膜及び末節骨底
【作用】
第2〜5趾伸展、足関節背屈、足部の外返し
簡単に理解すると、脛の前から親指以外の指先についています!
この筋肉の働きとしては、
- 第2〜5趾を上にあげる(伸展)
- 足首を上にあげる(足の背屈)
- 足の裏を外に向ける(足部の外返し)
です!
これら2つの筋肉と浮き趾の関係ですが、
走行がわかっていれば理解しやすいはずです。
2つの筋肉は足趾の先についています。
この筋肉が硬くなってしまった場合、指が上に上がってしまいます(伸展する)。
筋肉の起始・停止と働きを理解できたところで、
この2つの筋肉と前脛骨筋の位置関係を見てみましょう!
図のように前脛骨筋・長趾伸筋は表層にあり、長母趾伸筋は2つの筋肉の間に入り込むように走行しています。
実際に長母趾伸筋・長趾伸筋に触れてみよう!
解剖を理解したところで、実際に長母趾伸筋・長趾伸筋に触ってみましょう!
筋肉の起始・停止が分かった上で、実際に筋肉を触るとより詳しく筋肉を理解することができます。
実際の体では、
- 皮膚の上から触る必要がある
- 筋肉が何層にもなっており直接触れない筋肉がある
筋肉をいきなり触ろうと思っても、人によって体や筋肉の大きさは異なります。
最初は骨を指標にすることが重要です!
では、長母趾伸筋から触診していきましょう!
①2〜5趾を曲げる
②1趾のみ上に上げる
③浮き上がる腱が長母趾伸筋
長母趾伸筋を触診する際に、長趾伸筋・前脛骨筋と混合しやすいです。
触り分けるPointとしては、
- 2〜5は曲げておく→長趾伸筋が働きにくくなる
- 足は伸ばしておく(底屈位)→前脛骨筋が働きにくくなる
この2点を意識するだけで、触り分けしやすくなります。
ちなみに、長母趾伸筋は深層にある筋肉なので、筋腹を直接触るのは難しいです!
次は長趾伸筋を触ってみましょう!
①1趾を曲げる
②2〜5趾を上げる
③浮き上がる腱が長趾伸筋
長趾伸筋を触り分けるPointは、
- 1趾は曲げておく→長母趾伸筋が働きにくくなる
- 足は伸ばしておく(底屈位)→前脛骨筋が働きにくくなる
解剖の知識があれば、このように触り分けも簡単にできるようになります!
長母趾伸筋・長趾伸筋のストレッチ方法
では、次はストレッチ方法です!
- 浮き趾
- 底屈制限がある
場合は、ストレッチをしましょう!
また、浮き趾の方は長母趾伸筋や長趾伸筋の硬さだけでなく、屈筋群がうまく使えていないことも原因の一つです。
浮き趾群では全趾接地群に比 べ、足趾把持力が低下している
足趾接地状態の不良と身体機能の関連性について(長谷川 2008)
そのため、長母趾伸筋・長趾伸筋を伸ばしながら屈筋群を鍛えてあげることが重要です!
シンプルにタオルギャザーをしましょう!
長母趾伸筋・長趾伸筋のエクササイズ
では次にエクササイズ方法です!
シンプルに足趾を上に上げましょう(伸展)!
反対の足で押さえつけて、負荷をつけるのもGoodです!
最後に
解剖の知識があることは大きな武器です。
解剖を理解しているとエクササイズ指導の質もグッと上がります。
実際の触り方やコツなどが知りたい方は、ゼロからわかる解剖学セミナーでお待ちしています!
解剖の知識をつけて、目の前のたくさんの人を救っていきましょう!