前脛骨筋の解剖学的特徴
前脛骨筋は脛の前にある筋肉であり、足部のアーチを維持するために重要な筋肉です。
この筋肉の不調が生じると、
・アーチが下がる
・扁平足になる
・ランニングや歩いていると脛が張る・痛くなる
・膝がうちに入る
などの症状を引き起こします。
アーチに関しては、内側縦アーチ・横アーチに関与しているとされています。
前脛骨筋は、内側縦アーチに対してはこれを挙上し、横アーチに対しては低下させる。
運動療法のための機能解剖学的触診技術(青木隆明 監修)
このアーチに関しては、解剖の知識があると理解しやすいと思います。
アーチが低下している方を担当した時、解剖の知識があると、
内側が落ち込んでいるから、前脛骨筋がうまく使えていないのかな?
と考えることができます。
アーチは前脛骨筋以外にも様々な筋肉や靭帯で安定させています。
そのため、前脛骨筋は一つの要素でしかありません。
ですが、このような引き出しがあることで、様々なケースに対応できるようになります。
これは、解剖の知識があるからできる考え方です。
解剖の知識を理解していれば、
- どんなエクササイズが効果的で
- どんな代償が出やすいのか
まで考えることができます!
今回は前脛骨筋を解剖から理解し、明日から使えるPointをお伝えします!
前脛骨筋の起始・停止は?
まずは、前脛骨筋がどこについているかを理解しましょう!
【起始】
脛骨外側面近位1/2、下腿骨間膜前面近位2/3、下腿筋膜
【停止】
内側楔状骨、第一中足骨底内側
【作用】
足関節背屈、足部の内返し
まとめると、脛の前から足の内側につきます。
足の裏には、内側・外側・横と3つのアーチがあり、
このアーチが歩く時や走った時に衝撃を吸収してくれます。
その中でも前脛骨筋は内側縦アーチの維持に関与しています。
停止と走行がわかっていれば、理解しやすいです。
前脛骨筋は、内側楔状骨や第一中足骨に停止します(図の赤マルです)。
筋肉が収縮することで、上に牽引されるため足部のアーチが維持できます。
実際に前脛骨筋に触ってみよう!
解剖を理解したところで、次は実際に前脛骨筋を触ってみましょう!
筋肉の起始・停止と走行がわかった上で筋肉を触ると、筋肉をより詳しく理解することができます。
実際の体では、
- 皮膚の上から触る必要がある
- 筋肉が何層になっており、触れない筋肉がある
人によって体や筋肉の大きさは異なります。
骨や筋肉を収縮させて、他の筋肉と鑑別していくことが重要です!
では、実際に筋肉に触っていきましょう!
①指を曲げた状態で、足を背屈させる(指を曲げるのがPoint)
②浮き出る腱が前脛骨筋腱
③その腱を辿って触れるのが前脛骨筋
前脛骨筋は表層にある筋肉なので、触りやすい筋肉です。
ですが、近くに長母趾伸筋や長趾伸筋などの筋肉もあり、前脛骨筋と同様に足を背屈する作用があります。
そのため、混合しやすい筋肉でもあります。
ですが、触り分けは非常にシンプルです。
前脛骨筋以外の筋肉は指の先までついており、指を伸展する(上に上げる)作用があります。
指を屈曲することで、これらの筋肉は働きにくくなります。
そのため、指を曲げながら背屈する時に浮き上がる腱は前脛骨筋と判断することができます。
これも解剖の知識があるからこそ理解できる内容ですね!
前脛骨筋のストレッチ方法
では、次はストレッチ方法です!
前脛骨筋をストレッチした方がいい人は、
・膝が内側に入りやすい人
・荷重が外側に乗りやすい人
・ハイアーチの人
上記の特徴がある方は、前脛骨筋のストレッチを試してみてください。
特に荷重が外側に乗りやすい人は、多く経験します。
足首を底屈した時に、
この前脛骨筋が硬い人は、写真のような代償を生じます。
前脛骨筋は背屈・内返しにする筋肉なので、底屈・外返しすることで一番伸張されます。
ですが、前脛骨筋が硬い場合は、底屈をした時に内返しで代償しようとします。
これも解剖がわかっていると、理解しやすいはずです!
カーフレイズなどの最大底屈するエクササイズで、小趾荷重になりやすい・外側が疲れやすい方は、前脛骨筋の影響も考えてみましょう!
それでは、実際のストレッチ方法です!
ストレッチ方法は、シンプルに底屈させましょう!
母趾球に乗せると、内返し代償が生じにくいです。
また、体重を乗せすぎて痛めないように中止しましょう!
椅子に座った状態でもOKです。
前脛骨筋のエクササイズ
では、エクササイズ方法もご紹介します!
特にランジやスクワットでKnee-inを生じやすい方は、前脛骨筋を鍛えることをお勧めします。
非Knee-in群では、Knee-in群に比べて片足着地動作において、前脛骨筋の筋活動が着地前0~50msで有意に大きく、着地後0~50msにおいても筋活動量が増大する傾向が見られた。
片脚着地動作におけるknee-inのリスクファクターは何か(高木 2009)
実際のエクササイズ方法は、
リバースカーフレイズで鍛えましょう!
足趾を曲げておくと、選択的に前脛骨筋を鍛えることができます!
状況に合わせて足趾の状態を工夫してみてください!
もう一つのエクササイズはこちら!
このエクササイズは背屈させたまま、うち返しします。
内側縦アーチに重要な内返し機能改善を目的にやってみましょう!
最後に
解剖の知識があることは大きな武器です。
解剖を理解しているとエクササイズ指導の質もグッと上がります。
実際の触り方やコツなどが知りたい方は、ゼロからわかる解剖学セミナーでお待ちしています!
解剖の知識をつけて、目の前のたくさんの人を救っていきましょう!