こんにちは!Nピラティスです!
ピラティスを始めると、
多くの人がつまずく種目のひとつに「ハンドレッド」があります。
呼吸を続けながら両脚を持ち上げ、上体をキープする――シンプルに見えて実はとても複雑。
「首がつらい」
「腰が反って痛い」
「100回続けられない」
そんな声をよく耳にします。
単に「腹筋が弱いから」ではありません。
実際には呼吸・体幹の安定性・股関節の柔軟性など、多角的な要素が絡み合っています。
今回は、Nピラティスが臨床現場や指導現場で実際に見てきた5つの原因を、解剖学と運動学の観点から徹底解説します。
ハンドレッドができない理由を解剖学から

ハンドレッドは「呼吸と体幹の安定性」を学ぶ基礎的な種目です。
Joseph Pilates も 、
“Breathing is the first act of life and the last(呼吸は人生における最初の行為であり、
そして最後の行為である)” と呼吸の重要性を強調していました。
呼吸を100回続ける中で、体幹を安定させる役割を担うのは腹筋群や横隔膜。
さらに脚を持ち上げるためには股関節屈曲筋群の柔軟性・筋力も必要です。
つまり、ハンドレッド=呼吸 × 体幹筋 × 股関節筋の総合テスト といっても過言ではありません。
では、具体的に「できない」原因を5つに整理してみましょう。
理由1:そもそも腹筋が弱くて上がらない
腹筋の役割
腹筋は腹直筋・腹斜筋・腹横筋は胸郭と骨盤を結び、体幹を安定させる筋肉。
腹直筋・腹斜筋は体幹の屈曲に関わります。
つまり、ハンドレッドの体幹屈曲の大まかな動きはこの筋肉達で作り上げてます!

残りの腹横筋はコルセットのように腹圧を高め、
腰椎を安定させています!
研究でも
「腹横筋の収縮は腰椎安定に寄与する」と報告されており(Hodges & Richardson, 1996)、ピラティスの世界でも基本の基礎とされています。
ニュートラルポジションをキープした上でのハンドレッドでは、腹横筋が鍵になります!
弱いとどうなる?
腹筋が弱化すると以下のようなエラーが出現します!
- 頚部までは上がるがそれ以上、上がらない
- 頭と脚を持ち上げた瞬間に腹筋で止められず腰が反る
- 腹筋が弱いことで、首や肩に過剰な力が入る
改善のステップ
腹筋が弱いまま、ハンドレッドだけで改善しようとするのはNGです。
ハンドレッドは、上半身と下半身の重みを腹部でコントロール必要があるので、
そもそもの難易度が高すぎます。
なので、種目を変えましょう!
おすすめはロールダウン です!
背骨をコントロールしながら腹筋の遠心性収縮を学びます。
上げるのが苦手な人は下げながら腹筋を使う感覚から入れてみましょう!

理由2:呼吸が浅く、首にばかり効いてしまって辛くなる
日常生活や仕事の影響で胸郭が硬くなる
現代人は長時間のスマホやパソコン操作に伴い、
巻き肩姿勢になりやすいです。
巻き肩になることによって鎖骨や胸骨が下方に落ち込み、
胸郭の上方への膨らみであるポンプハンドルモーションが阻害され、
呼吸が浅くなります。

さらに、
反り腰姿勢になると、
背筋の過緊張に伴い、胸郭が側方や後方に膨らむのも阻害されるので、
さらに呼吸が浅くなります!
呼吸が浅いとどうなる?
呼吸が浅くなると、以下のエラーが出現します!
- 呼吸が徐々に浅くなり、途中で呼吸が止まって力んでしまう
- 呼吸が止まることにより、頚部の呼吸補助筋(斜角筋、胸鎖乳突筋)
に余計な緊張が入る- 腹圧が維持できず、腰に負担が集中。背部痛の原因に!
改善のステップ
呼吸が浅い場合は、胸郭周辺の柔軟性改善が、かなり重要です!
胸前のストレッチ、側方のストレッチ、腰背部のストレッチなど胸郭周辺の柔軟性を改善させることが非常に大切です。
そこが、改善することにより、
胸郭が膨らみやすくなり、呼吸も深くなります。
理由3:頚部屈曲筋群が弱くて頭が上がらない
頚部の安定性
ハンドレッドで「首がつらい」と感じる場合ですと、
腹筋ではなく 頚部の弱さ に原因があります。
胸鎖乳突筋や頚長筋といった小さな筋肉が働かず、
代わりに僧帽筋上部や板状筋が過剰に緊張してしまうのです!

弱いとどうなる?
頚部屈筋群は弱くなると、以下のエラーが出現します!
- そもそも頭が上がらない
- 顎を前方に突き出すように持ち上げる
- 腹筋へ効く感覚までつながらない
改善のステップ
ハンドレッドを行う前に、頚部チンインの練習をおすすめします。
重力を負荷にした顎引きエクササイズです!
顎を引いて頭を軽く持ち上げるだけでも、
頚部屈曲筋を意識でき首の安定性が増してきます。

理由4:腿裏(ハムストリング)が硬くて足が上がらない
ハムストリングの役割
ハムストリングは大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋の3つの筋肉からなり、
股関節の伸展・膝関節の屈曲に関与します。
仰臥位で脚を持ち上げるとき、
これらの筋肉が短縮して硬くなっていると、
股関節の屈曲が制限されます。
硬いとどうなる?
ハムストリングの柔軟性不足で以下のエラーが出現します!
- ハンドレッドで脚を伸ばして持ち上げられない
- 膝が曲がってしまう
- 無理に伸ばそうとすると腰が反ってしまう
改善のステップ
腿裏の柔軟性を改善が非常になります!
以下一例です!
仰向けハムストリングストレッチ
- 片脚を伸ばして持ち上げ、タオルやバンドでサポート。
- 膝を軽く曲げた状態から徐々に伸ばすことで、腰への負担を減らしながら柔軟性を高められます。
理由5:股関節屈曲筋の弱さ
腸腰筋の役割
腸腰筋は股関節を支点にして脚を持ち上げるの働きがあります。
ここが弱ってしまうと、股関節の動きだけでカバーできずに、
腰が丸まるような上げ方になったり、
脚を支えられずにフォームが崩れます!

弱いとどうなる?
- 脚を浮かせられない
- 腹筋に力が入らない
- 無理に腰で頑張って腰痛につながる
改善のステップ
シーテッドレッグリフトを取り入れましょう。
座位で背骨をまっすぐに保ち、片脚を軽く持ち上げるだけで腸腰筋を鍛えられます。
腸腰筋を鍛えてあげることによって、ハンドレッドの足を上げたポジションがキープしやすくなります!

ハンドレッドができない!を解決するまとめ!
ここまで見てきたように、ハンドレッドができない理由は以下の5つ。
- 腹筋が弱い
- 呼吸が浅く、首にばかり効いてしまって辛くなる
- 頚部屈曲筋群が弱い
- 腿裏(ハムストリング)が硬くて足が上がらない
- 股関節屈曲筋が弱い
つまり「腹筋だけ鍛えればいい」という単純な話ではないのです。
正しい呼吸、柔軟性、安定性、そして段階的なトレーニング。
これらを積み上げることで、ハンドレッドはぐっと楽に、そして安全にできるようになります。
Nピラティスでは、解剖学・運動学の知識を土台に「評価」と「改善」を大切にしています。
ただ頑張るのではなく、「なぜできないのか?」を見極めて、一人ひとりに合わせたアプローチを提案しています。
ハンドレッドができないと感じている方は、ぜひ今日お伝えした5つのポイントをチェックしてみてください。
そして一歩ずつ、自分の身体を正しく使えるようにしていきましょう。