ピラティスをする人の多くは「姿勢」を気にします。
もちろんピラティスインストラクターも「姿勢」をチェックします。
そして世の中は「姿勢の左右差」に敏感です
やれ右肩が下がっている
やれ左の骨盤が上がっている
やれ背骨が側湾している
はい、本当にそれってダメなんですか?
「体の左右差=ダメ」と思っていましたが。左右差をなくすことが正常だと思っていませんか?
実は左右差を直していい場合と左右差を直しちゃいけない場合があります。
深い視点で姿勢を評価しましょう!
ではいきます!
正しい姿勢の基準線
はい、まさにこれです。教科書的、物理的には。
でもこんなに真っ直ぐな人はほとんど見かけません
あくまでも正解の基準を知っておくだけでOKです。
姿勢評価の客観性は低いという真実
まずこの論文をみてください↑
24時間の平均腰椎前弯は立位時のもっとも高い測定値と大きく異なった。可動域も同様に大きく異なる。
つまり、1日の中でも腰椎の前弯の角度や可動域は変わるよ。ってことですね。
姿勢評価をするときに常に同じ条件で評価することは困難です。短期的な姿勢変化と長期的な姿勢変化は別物です。
加えてこの論文も読んでみてください↑
大まかに伝えると
立位時の仙骨の向きと腰椎の前弯は非常に変わりやすい。個人差がある。
ってことです。
姿勢とは
・日内変動もある
・個人差がある
・その日によって変わる
というかなり曖昧なものになります。
姿勢に影響を与える因子は「筋肉」だけじゃない
どうしても専門家になればなるほど視点が狭くなりがちです。
僕らの領域であれば「筋肉」による影響と「姿勢の関連性」を強くして見ちゃいます。
はい、広く見ましょう。
<筋肉以外に姿勢に影響を与える因子>
・靴
・洋服
・普段の生活
・メンタル
・肥満
・加齢
・先天的
などなど。
このあたりの様々な要因を見逃して「筋肉」だけに着目するのはやめましょう。
だからこそ「カウンセリング」が大切になります。
左右差を直していい姿勢の条件は?
シンプルに。
姿勢を直した時に体に不具合が出ないどうかです。
つまり。姿勢を直した方が「調子が良い」場合です。
この場合は左右差を修正するようなピラティスは効果的です。
さあ次が大事です。
左右差を直してはいけなパターン。
姿勢の左右差をなおしてはいけないパターン
答えからいきますが。
「あえてその姿勢をとっているんだよ」
という場合です。
つまり
「痛み」からの回避姿勢です。
これに関しては姿勢を直すのはNG。例えば肩関節周囲炎の炎症期の患者さんを例に出して考えます。
このように患側の肩関節が下方回旋していたらどうしますか?
あ!下方回旋している!じゃあ左右差ないように整えよう!!上方回旋させる運動をしよう!下方回旋している筋肉をストレッチしよう!
ではありません。
なぜなら肩関節周囲炎の炎症期だからです。あえて下方回旋しているからです。
え?なんで??という人は病態の知識から学びましょう↓
肩関節周囲炎の炎症期のアライメント理由
そもそも肩関節の炎症期は「夜間痛」を伴います。夜間痛のメカニズムで有力なのが
・烏口肩峰アーチ下圧の上昇
・上腕骨内圧の上昇
この2つです。
肩関節上方組織が癒着→肩峰下アーチ圧上昇がおきて痛みが出ます。
肩関節後方組織の癒着→後上腕回旋動脈が圧迫されて上腕骨内圧上昇から痛みが出ます。
この2つの機序があるからこそ肩峰下アーチの間にスペースを作る=回避姿勢になるわけです。
だから
肩甲骨下方回旋で拘縮しようとするのです。
痛みを回避している姿勢を崩そうとすれば痛みが増します。
つまり、この時期には無理に姿勢を直すことはしてはダメということになります。
これが姿勢と病態と病期を合わせて姿勢を評価するということです。
表面だけの姿勢評価だけでは何もわかりません。
前提条件としての病態の知識とデータベースがない限り。
今とるべき正しい姿勢に導くことができません。
これは肩関節周囲炎に限ったことではなく、腰の疾患や膝疾患などにも応用できる考えです。
「なぜその姿勢をとっているのか?」を深掘りましょう!