慢性腰痛にピラティスがおすすめな5つの理由!

腰痛のクライアントさんにピラティスしていく中で、なかなか痛みが取れない、痛いと言って体をうまく動かすことができないといった経験はありませんか?

今回は慢性腰痛のメカニズムとピラティスが効果的である理由と実際のエクササイズをご紹介します。

目次

腰痛の定義と種類

日本腰痛学会によると腰痛とはこう定義されています。

①体幹後面に存在し、第12肋骨と殿溝下端の間にある少なくとも1日以上継続する痛み
②急性疼痛、亜急性疼痛、慢性疼痛の3つに大別される
③脊椎由来、神経由来、内蔵由来、血管由来、心因性、その他に定義される

これを見る通り一口に腰痛といっても様々な種類や原因があることがわかります。

腰痛の8割は原因不明??

ほとんどの腰痛は実ははっきりとした原因がわかっていません。

腰痛は様々な原因があり1つだけでなく複数の原因があるためです。

原因がわからない腰痛を非特異的腰痛といい、全腰痛患者の85%を占めます。残りの15%は原因がはっきり特定できる腰痛で特異的腰痛と言われています。

非特異的腰痛は椎間関節障害、仙腸関節障害、筋筋膜性障害など画像診断や血液検査では判別が難しく、また複数の障害が合わさっている場合もあります。さらに心因性の腰痛もあるため、この非特異的腰痛を突き詰めようとするほど迷宮入りしやすくなります。

特異的腰痛の例として、腰椎ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎分離症など画像検査や血液検査で痛みの特定が可能なものが挙げられます。

その中の1%〜5%、患者数でいうと少数ではありますがこれに当てはまるのがレッドフラッグです

レッドフラグを簡単に理解しておこう

腰痛に限らず治療するにあたり絶対に知っておくべきことがあります。それがレッドフラグです。

レッドフラグとは見逃してはいけない疾患を示唆する徴候や症状のことを指します。

腰痛の場合この症状が出ている場合直ちに医療機関へ受診を進めましょう。

<腰痛のレッドフラッグサイン>
・発症年齢が20歳未満、または50歳以上の腰痛
・時間や活動性に関係の内容痛(安静時疼痛)
・胸部痛
・がん、ステロイド治療、HIVの感染の既往
・栄養不良
・体重減少
・広範囲に及ぶ神経症状や膀胱直腸障害
・構築性脊柱変形(側湾症や後弯症)
・発熱

このレッドフラグを知らずに介入すると、クライアントの命に関わる重大な症状である可能性があるだけでなく、訴訟になる恐れがあります。

必ず問診の時点で上記症状がないかを聞き取りましょう。

万が一上記症状があった場合は医療機関の受診をお勧めしましょう。

腰痛には急性痛と慢性痛がある

腰痛には大きく急性痛と慢性痛があります。

その名の通り

急性腰痛:急性に起きた腰痛。痛くなった原因が特定しやすい。
慢性腰痛:3ヶ月以上続く原因が特定できない腰痛

になります。

ピラティスは急性腰痛よりも慢性腰痛に効果的であることが報告されています。

ピラティスが得意な腰痛とは??

ここまで腰痛について簡単に述べてきましたが。

ピラティスが得意な腰痛は「非特異的腰痛」であり「慢性的な腰痛」になります。さらに運動自体に「恐怖」を持っている方には効果的です。

1非特異的腰痛の多くが慢性痛

非特異的腰痛のほとんどが慢性痛です。慢性痛とはきっかけは不明であり。

3ヶ月以上超える痛みのことを指します。

慢性痛は末梢、中枢神経系の感作、可塑的変化、精神や行動、社会的に影響を受けます。

2慢性痛は『動く』ことが効果的

慢性痛の治療ガイドラインで示されている痛みの恐怖回避モデルから見てみましょう。

この図はどのように痛みが慢性化していくのか、そして回復していくのかが示されています。

この図を簡単に表すとこうなります。

これを1つのぎっくり腰で例えると・・・

1重いものを持ったら腰が痛くなった!
2ネットで調べたらぎっくり腰だった、歳のせいだって言うし怖いな(不要な疾患の情報、消極的な感情)
3痛いし動くの怖いからじっとしていよう(過剰な行動回避)
4なんか最近元気が出ないしやる気も起きない(不活動と抑うつ)
5腰が痛いなぁ(痛み体験)

この1〜5を繰り返すことが慢性痛の疼痛回避ループになります。

このループを見ると腰痛には「感情や精神状態」も大きく関係してくるという点がポイントです。

例え組織的な問題がなくても一度動くと痛いというネガティブな感情や思い込みが定着してしまうと動けなくなります。さらに痛みに対して過剰に反応し負のループにはまっていきます。

そのため、ピラティスにおいても不安や恐怖がない状態を作り出し、ネガティブな感情を払拭させることが慢性痛のループが抜け出す鍵になります。

簡単にまとめると、

  1. 組織損傷を起こす→過度な安静
  2. 動くことの恐怖により痛みに過剰反応する→慢性痛へ
  3. 不活動が続くことでますます神経感作や可塑的変化を引き起こす→負のループ
  4. ループから抜け出すためには痛みに対して正しい教育を行い、ネガティブな感情を払拭させ体を動かしていくピラティスが効果的

ですね。

実際に慢性腰痛に対してのピラティスの効果は複数の論文でも報告されています。

なぜピラティスが腰痛に効果的なのか?5つの理由!

では実際にピラティスがなぜ腰痛に効果的なのか??

について説明していきます!

1体の使い方を学習して姿勢が変わる

ピラティスでは頭の位置、手の向きなど細かいところを意識して体を動かしていきます。そのため正しい体の動かし方を学習していくことで姿勢アライメントが変わります。

姿勢アライメントが変わることで負担をかけている筋肉や使えていない筋肉を使用できるようになります。

専門的にはピラティスは「運動学習」の効果があり、自分の体を認知することで痛み抑制システムを働かせることができます。

2筋肉のバランスが良くなる

筋肉のバランスが偏ると腰に負担がかかります。基本的にピラティスでは弱化している筋肉、短縮している筋肉を強化+ストレッチしていきます。

3柔軟性が向上する

腰痛の人は臀筋やハムストリングスといったバックラインが短縮している人が多いことが報告されています。

普通のストレッチではすぐに戻ってしまいますが、ピラティスでは筋肉の収縮を加えてストレッチするため、脳が筋肉の長さを学習していき柔軟性が良くなります。

4背骨にある自律神経が整う

自律神経は脊柱から出ています。腰痛の人は脊柱の動きが悪くなり自律神経が乱れてしまいます。

自律神経が乱れることで精神的に不安定となり慢性痛のループから抜け出しづらくなります。ピラティスでは脊柱を中心に動かしていくので、柔軟性が上がり自律神経も整っていきます。

5成功体験を積み重ねて運動恐怖症を改善できる

痛みを抱えていると動くことが怖くなります。(専門的にはKinesiophobia)ピラティスでは痛くない動きから体を無理なく動かせるので、動くことの恐怖を取り除きやすく、成功体験を積み上げやすいです。

腰痛はどうやって評価する?

ピラティスを行う前には必ず、「何が原因で痛みが出ているのか」を評価しなければいけません。

ここでは大まかな腰痛の評価をお伝えしていきます。

1カウンセリングからの評価

腰痛に対して主に聞いておくべき質問があります。

1痛みの部位
2痛みの種類
3日内変動
4痺れの有無
5くしゃみでの疼痛増悪
6楽な姿勢と辛い姿勢

一つずつ見ていきましょう。

1痛みの部位:まずどこが痛いのかを確認しないことには何も始まりません。痛みの部位を聞くと同時に指で示せるのか否かも聞きましょう。痛いところを指でさせる場合(フィンガーサイン)、痛みの原因がそこに存在する可能性があります。また手のひらでさするように(パームサイン)した場合、痛みの原因の範囲が広いことになります。

2痛みの種類:どのような痛みが出ているのかによってある程度腰痛の原因が絞ることができます。刺すような痛みであれば神経由来の可能性があり、鈍痛であれば筋筋膜性の可能性があります。

3日内変動:一日中痛みが変わらないのか、午前午後で痛みが違うのかも大切な指標の一つになります。

4痺れの有無:痺れがある場合、ヘルニアや脊柱管狭窄症、坐骨神経痛などのいわゆる腰痛の原因が特定できる特異的腰痛の可能性があり、場合によってはレッドフラグに当てはまる可能性もあるため慎重に精査しましょう。

5くしゃみでの増悪:くしゃみをすると腹圧が急激に高くなります。急激な腹圧の上昇による衝撃は椎間板や腰部周囲の筋肉にストレスをかけるのでチェックしていきましょう。

6楽な姿勢、辛い姿勢:姿勢による痛みの変化も重要です。例えば座った姿勢は椎間板内圧が高くなり、立った姿勢は椎間関節にストレスがかかりやすくなります。そのため姿勢による痛みの変化を知ることで腰痛の原因を絞ることができます。

そして最後にレッドフラグの確認も行いましょう。

2筋肉バランスを3つの姿勢からチェック!

問診で上記内容が聞けたら次は姿勢を評価します。代表的な3つの姿勢によりストレスを受けている部位やマッスルバランスを予測していきます。

1 Swayback posture

現代人の多くがこの姿勢になります。この姿勢の特徴は頭部前方変異、胸椎の過剰後弯、腰椎前弯の減少、骨盤後傾気味です

・短縮しやすい筋肉:大胸筋、腹筋群、ハムストリングス、臀筋
・弱化しやすい筋肉:頸部屈筋群、僧帽筋下部、腹筋群、腸腰筋、脊柱起立筋

2 Flatback posture

この姿勢の特徴は頭部がやや前方、胸椎〜腰椎が平坦、骨盤後傾になります。

・短縮しやすい筋肉:腹筋群、ハムストリングス
・弱化しやすい筋肉:頸部伸展筋、腸腰筋、脊柱起立筋

3Kyphosis Lordosis posture

この姿勢の特徴は頚椎と腰椎の前弯が過剰で骨盤前傾気味になります。

・短縮しやすい筋肉:頸部伸展筋、大胸筋、脊柱起立筋、腸腰筋など
・弱化しやすい筋肉:頸部屈筋群、僧帽筋下部、菱形筋、腹筋群、大臀筋など

姿勢をチェックすることで筋肉のバランスを考えたピラティスが提供できるようになりますね!

3動きの評価「Movement assessment」

姿勢を評価できたら次は動きを確認していきます。この時にどのように動いたら痛むのかも確認しておきましょう。

腰痛に対する動きは最低この4つを確認しましょう。

<腰痛に対する4つの背骨の評価>

1屈曲:バックラインと脊柱の柔軟性、ハムストリングスや下腿三頭筋の柔軟性、椎間板のストレス
2伸展:胸椎の伸展可動域、筋膜フロントラインの柔軟性、骨盤後傾の可動性、椎間関節のストレス
3側屈:筋膜ラテラルラインの柔軟性、
4回旋:広背筋の柔軟性、胸椎の回旋、筋膜スパイラルラインの柔軟性

これに加えて神経由来の痛みやその他の疑いがあり、必要であれば整形外科テストなども実施しましょう!

評価の流れまとめ
1レッドフラグと腰痛の分類をある程度カウンセリングから把握する
2姿勢アライメントを評価しマッスルバランスを予測
3movement assessmentにより実際にどのように動くのかを確認しマッスルバランスや動きの質、さらに痛みの変化を確認する

以上3つをチェックしてからピラティスのエクササイズを組み立てていきましょう!

慢性腰痛に対するピラティスエクササイズの実践

問診や評価を終えたら後はそれに基づき運動処方をしていきましょう!

慢性的腰痛に対するエクササイズの考え方の一例が

①股関節周囲の柔軟性向上
②骨盤帯のコアコントロール
③腸腰筋の強化
④脊柱のアーティキレーション
⑤脊柱の伸展機能の向上

となります。

では実際の動きを見ていきましょう!

①背臥位によるエンゲージコア(テーブルトップ)

  1. 上記の姿勢をとる
  2. 腰が反り腰にならないようにお腹に力を入れる(腸腰筋)

この時点で腰が反ってしまう人は腹横筋の筋力低下が疑われるため、丁寧にトレーニングしていきましょう。

②ハンドレッド

  1. テーブルトップの状態から肩甲骨が浮くまで体を持ち上げる

ポイントは首が前に出過ぎないように注意しましょう。腹部全体を鍛えることができます。

③ロールダウン

  1. 長座位から背骨を1つ1つ床に落としていく

このエクササイズは背骨の感覚を高めていくエクササイズになります。腹筋群の遠心性収縮を働かせていきます。

④キャットアンドカウ

  1. 四つ這いから背骨を丸める・反るを繰り返す

このエクササイズのポイントは「背骨を1つ1つ認知しながら動かす」です。

⑤クロスオーバー

  1. 四つ這いの状態から手足を対角線上に伸ばします

ポイントは体幹が左右にぶれないようにすることです。体幹周りのインナーマッスルを働かせることができます。

⑥スパインローテーション

  1. 四つ這いの状態から胸椎を中心に回旋していきます

ポイントは「腰は固定、胸が回旋する」を守ることです!

痛みのない範囲で行ってみましょう!!

腰痛のまとめ

いかがだったでしょうか?

腰痛を治療していくためには痛みに対する認知を変えていき負の感情を払拭すること、身体を適切に動かしてループから抜け出すことが大切であり、それはピラティスが一番効果的で得意とする分野です!

ぜひ参考にしてください!

今回のような基礎的な姿勢・動きのピラティスの評価はNピラティスのマットセミナーで行います!

参考文献

N.Pilates Seminar

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