坐骨神経痛は、慢性的な痛みや不快な症状を引き起こすことがあります。
しかし、適切なトレーニングとストレッチを行うことで、痛みを軽減し、運動能力の回復を図ることができます。
そのためには、坐骨神経に関わる機能解剖や神経痛のメカニズムを知っておく必要があります。
それを知っておくことで、ピラティスの効果は何倍にもすることができるはず。
今回は、そもそも坐骨神経痛とはというところから、坐骨神経の機能解剖や神経痛のメカニズム、坐骨神経痛の評価、ピラティスへの活かし方まで解説します。
坐骨神経痛とは?
そもそも、坐骨神経痛とは別名、梨状筋症候群とも言われ、坐骨神経が梨状筋による圧迫を受けることで、大腿後面から下腿にかけて症状が出現します。
坐骨神経の走行路に近接する腰椎下部の椎間板ヘルニアや腫瘍による神経の圧迫によって起こるとされ、好発部位はL4~S1の障害が多く認められます。
病院では、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症を疑って検査しても画像上はなにも原因がわからない場合があり、原因がはっきりしない殿部から足にかけての痛みのことを総称して坐骨神経痛として診断されることもあります。
坐骨神経痛の病態としては、周囲組織による圧迫で起こる坐骨神経の可動性の低下および欠如による虚血性神経障害です。
症状としては、坐骨神経の分布域に放散する神経痛で、神経の走行に沿って痛みを感じます。
代表的な症状が以下の4つです。
Hopayian K, 2018
- 殿部の疼痛がある
- 長時間の座位で疼痛が悪化する
- 深殿部を構成する筋の圧痛がある
- 筋のストレッチ、抵抗運動で疼痛がある
しかし、レントゲン上ヘルニアなど神経を圧迫する病変はないにもかかわらず、坐骨神経痛様の症状を訴える場合もあります。
手術でヘルニアを取り除いたにもかかわらず、月日が経過しても症状が中々改善しないという場合もあります。
この場合、ヘルニアなどによる神経の圧迫は考えにくいので、それ以外の要因が関わっている可能性があると考える方が妥当でしょう。
そういった場合に可能性として考えられるのが坐骨神経痛で、坐骨神経が走行している部位のどこかでなんらかの要因によって神経が障害されていることが考えられます。
筋肉の柔軟性低下、筋緊張増加による圧迫や筋肉同士の癒着、関節の可動性が悪いことで筋肉の動きが悪くなっている、または硬くなっていることで坐骨神経に対して刺激を与えており、坐骨神経痛様の症状が出ている可能性があります。
純粋にヘルニアなどによる神経の圧迫によって出現している症状なのか、それより遠位で筋肉など軟部組織由来による症状なのか、どちらも混在しているのか鑑別する必要があるということになります。
神経障害による痛みのメカニズム
神経は圧迫には強い組織で、圧迫されただけでは痛みを起こしません。
神経による痛みで考えられるのは、神経が損傷した場合か神経が炎症を起こしている場合の2つ。
圧迫されるだけでは、筋力低下や感覚障害は起こりますが、痛みは起こりません。
そもそも、痛みを感じるメカニズムをざっくり解説すると、末梢の感覚器(筋、筋膜、腱、皮膚、関節包、骨膜)が痛み刺激を知覚して、それが神経を伝って上行し、脳で痛みとして認知します。
神経線維はあくまでも末梢からの情報を中枢へ伝えるためのもの。
なので、末梢と中枢の間で軟部組織による圧迫が起こったとしても、それが末梢へ痛み刺激となって現れることは考えにくいのです。
ただ、例外として、神経損傷などがあれば、異所性興奮によって刺激が逆行し、末梢で痛みを感じる場合はあります。
もし、神経痛だとすると、複雑性局所疼痛症候群(Complex Regional Pain Syndrome:CRPS)のように灼熱痛や浮腫などの症状が起こっても不思議ではありません。
ということから、神経による痛みの場合の多くは炎症によって痛みが起こっているということです。
なので、坐骨神経痛について考えるには、坐骨神経の周囲で炎症が起きてしまうようなストレスを除外するという視点が必要になるのです。
ここまでを踏まえ、神経、あるいは神経の周囲で炎症を起こしてしまう場合はどういう場合かと言うと、圧迫と摩擦がポイントになります。
大きく分けると、神経外の問題と神経内の問題に分けて考える必要があります。
神経外の問題
神経の周りには、メカニカルインターフェースと呼ばれる神経周囲の骨や腱、筋肉、血管、靭帯などの組織が存在しています。
神経外の問題というのは、神経とメカニカルインターフェースとの間で起こる摩擦や絞扼による機械的刺激による疼痛を指します。
ただ、、神経の圧迫=神経痛というわけではなく、上述したように本来、神経繊維は末端にある受容器(筋、筋膜、腱、皮膚、骨膜)からの情報を中枢へ伝えるためのものなので、損傷がない限り、末梢から中枢までの間で興奮が起こって痛みが出るということは考えにくい。
例外的に、炎症があるとnervi nervorum(神経幹神経)と呼ばれる組織が感作、活性化し、痛みに繋がります。
具体的には下記の流れで神経が障害されます。
神経内の問題
神経外で起こった炎症が神経周膜や神経束まで波及することが問題となります。
長期間の圧迫や絞扼により、血流の低下で酸素や栄養の不足が起こり、神経の修復が困難となります。
また、神経の繊維芽細胞が神経内外で瘢痕組織を形成したり、神経を繊維化させます。
こうしたもろもろの異常が、nervi nervorumを活性化させることで痛みに繋がります。
具体的には上記の流れに加え、下記のようになります。
また、二次的に支配筋の変性や萎縮、廃用を起こし、それがまた痛みの原因となることも考えられます。
坐骨神経の機能解剖
坐骨神経は、脛骨神経と総腓骨神経が1つに束ねられたものです。
これら2つの神経は多くの場合、膝窩上部で脛骨神経部と総腓骨神経部にそれぞれ分岐します。
脛骨神経は、そのまま下腿後面〜足底に分布。
総腓骨神経は、さらに浅腓骨神経と深腓骨神経に分かれ、下腿前面〜足背に分布します。
両者とも大腿後面にも分布しており、脛骨神経が大腿内側、総腓骨神経が大腿外側に分布しています。
さらに近位を見てみると、L4〜S3から出ている神経が合わさって坐骨神経となり、梨状筋下孔(梨状筋が大坐骨孔を上下2つに分けて出来る下の部分)を通り、そのまま下降しています。
ざっくり言えば、坐骨神経は大腿後面の筋、下腿と足部の全ての筋、および下腿と足部のほとんどの皮膚に分布している神経と覚えておきましょう。
坐骨神経と梨状筋の走行は個体差があり、おおよそ以下のようになっています。
坐骨神経が梨状筋の下を走行:約90%
Beaton L E, 1937
坐骨神経が一部梨状筋を貫通して走行:約7%
坐骨神経が梨状筋を挟んで走行:約2%
坐骨神経が梨状筋を貫通して走行:約1%
触診などの評価ではどのバリエーションに当たるのかまでは分かりませんが、可能性として知っておいて損はありません。
最も多いのが「坐骨神経が梨状筋の下を走行する」パターンで、これを踏まえると、確かに梨状筋によって坐骨神経が圧迫されてしまうことは考えられます。
梨状筋は股関節の外旋・外転に作用するため、股関節内旋・内転位では緊張が高くなり、坐骨神経が圧迫される可能性があります。
梨状筋自体の形態にも以下のように個体差があります。
通常型:54%
上双子筋、内閉鎖筋と癒合:29%
内閉鎖筋、中殿筋と癒合:13%
中殿筋と癒合:4%
ここから考えられることとしては、上双子筋・内閉鎖筋と癒合している場合、坐骨神経が梨状筋の下を走行するパターンでは、梨状筋と上双子筋・内閉鎖筋の距離が縮まっている可能性があるため、より絞扼が起こりやすい可能性があります。
梨状筋だけではなく、上双子筋・内閉鎖筋が緊張を高めても坐骨神経へ影響を与える可能性があります。
筋肉は収縮すると長軸方向だけではなく、横方向にも3Dに動きますので、上双子筋・内閉鎖筋が収縮するとやや上方へ筋繊維自体が移動します。
つまり、梨状筋との距離が縮まるということで、坐骨神経が絞扼される可能性が高くなることが考えられます。
中殿筋と癒合している場合、坐骨神経が梨状筋の上を走行するパターンでは、梨状筋と中殿筋の距離が縮まっている可能性があるため、これもまた絞扼が起こりやすい可能性があります。
これも同様に、中殿筋が収縮すると後下方へ筋繊維が移動するため、梨状筋との間が縮まり、坐骨神経を絞扼する可能性が高くなります。
このように、坐骨神経のバリエーション、梨状筋のバリエーションの個体差によって、同じ坐骨神経痛でも病態が異なるので、評価に基づいてアプローチする必要性があるわけです。
梨状筋、上・下双子筋、内・外閉鎖筋、大腿方形筋で構成される外旋六筋で見ると、梨状筋が大きいイメージはありますが、梨状筋は内閉鎖筋、外閉鎖筋に次いで、3番目に大きい筋肉です。
筋肉の質量的な違いからしても、梨状筋以外の筋肉へも目を向ける必要があるということが言えます。
また、ある研究では、人工股関節置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)を受けた約70%の患者が坐骨神経症状はないものの、電気生理学検査において坐骨神経の変化を認めたとあります(Danny Mangual, 2020)。
この研究では母数が少ないですが、それでも70%というのは少なくない数値です。
神経は圧迫によって痺れや筋力低下を起こす可能性はありますが、疼痛が起こる可能性は低いです。
今回の研究では、THAの術後ということで炎症は必ず起きています。
神経が炎症による影響を受けた場合は痛みも起こす可能性があります。
THAでは外旋筋も切離するので、坐骨神経への影響も考えられると思いますし、坐骨神経自体の損傷も可能性として考えられます。
まとめると、坐骨神経痛様の症状がある場合は、腰椎疾患や梨状筋症候群による可能性を考慮するのはもちろん、THA術後かどうか、既往にTHAがあるかどうかも知っておく必要があるでしょう。
坐骨神経に関わる筋肉の機能解剖
坐骨神経に関わる筋肉の中でも特に痛みと関係しやすい、以下の3つの筋肉について解説します。
- 梨状筋
- 大腿方形筋
- ハムストリングス
梨状筋
梨状筋による坐骨神経への影響は以下のようなものがあります。
・筋肥大や緊張による坐骨神経の圧迫、前方への牽引
・関節運動に伴う梨状筋の緊張あるいは伸張による坐骨神経の圧迫
梨状筋は股関節屈曲位で伸張されるため、上述した坐骨神経痛の特徴で挙げた長時間の座位で疼痛が悪化するというのは、これに関連します。
また、股関節屈曲90°以上では外旋作用が内旋作用へ変化するため、そういったシチュエーションが日常生活でないかもポイントですね。
これは股関節屈曲に伴い、大腿骨頭が後下方へ移動し、前額面で後方から見ると骨頭の前方を梨状筋が走行するように変化します。
骨頭の前方を走行するので、梨状筋は内旋作用になるというわけですね。
これを考えると、股関節屈曲90°以上では股関節外旋が梨状筋の緊張を高めることが考えられるので、屈曲90°以上と以下では考え方を変えなければいけません。
大腿方形筋
大腿方形筋が関与する症状には、Ischiofemoral impingement(IFI)が関係します。
IFIとは、坐骨結節と小転子間の距離が狭くなることで、大腿方形筋が圧迫されインピンジメントを起こすというものです。
直接的に坐骨神経と関係するわけではないですが、インピンジメントによる炎症や浮腫によって間接的に坐骨神経が影響を受けます。
ハムストリングス
ハムストリングスの付着部の炎症による影響を坐骨神経が受けます。
坐骨神経は梨状筋などの傍を下行した後、ハムストリングス起始部の外側を走行してさらに下行していきます。
なので、ハムストリングスの付着部の炎症が起こると、坐骨神経も炎症による影響を当然受けるわけです。
炎症の鎮静後はハムストリングスと坐骨神経間で癒着が起こったり、それもまた坐骨神経の可動性を制限することになり、坐骨神経障害の原因になります。
坐骨神経痛に対する評価方法
坐骨神経痛に対する評価としては以下の3つが挙げられます。
- Slump test
- Seated piriformis stretch test
- Active piriformis test
それぞれ解説します。
Slump test
まず、slump testの手順は以下の通りです。
1.体幹後方で両手を組み座位となる
2.頸部屈曲、足関節背屈した状態で膝関節を伸展する
3.そこから頸部だけ伸展した時の坐骨神経領域の疼痛を評価
坐骨神経は元を辿ると、腰仙骨神経叢から分岐し、さらに元を見ると脊髄神経から分岐します。
上記のslump testの姿勢は身体後面を最も伸張するようにした姿勢。
頸部を伸展することで、伸張された後面組織が緩みます。
坐骨神経も身体後面を走行するため、頸部伸展によって緩みます。
もし、坐骨神経が問題の放散痛であれば、スランプテストによって疼痛が軽減します。
ですが、頸部伸展しても疼痛が変わらない場合、坐骨神経ではなくハムストリングスの伸張痛であることが予測されます。
Seated piriformis stretch test
梨状筋のストレッチテストの1つです。
このテストは、坐骨神経痛や腰痛、脛骨神経痛の患者によく使用されます。
1.端座位で股関節を90°屈曲位とする
2.膝を伸展させる
3.膝伸展位のまま、股関節を内転・内旋させる
4.坐骨神経領域の疼痛で陽性
筋肉の柔軟性が十分な場合は、痛みを感じないですが、筋肉が硬く緊張している場合は、痛みを感じることがあります。
痛みを感じる場合は、梨状筋のストレッチが必要です。
Active piriformis test
梨状筋の機能性テストの1つです。
このテストは、腰痛、坐骨神経痛、脛骨神経痛の患者によく使用されます。
このテストでは、患者が自分自身で梨状筋を活動させることで、その機能を評価します。
1.患側を上にして側臥位となる
2.下腿近位に抵抗をかけ、患者には股関節外転・外旋してもらう
3.坐骨神経領域の疼痛で陽性
このテストの結果から、梨状筋の機能性が低い結果であった場合は、ストレッチや筋肉の協調性、あるいは収縮を促す練習が必要です。
坐骨神経痛に対する運動療法
神経障害性疼痛は神経内の問題と神経外の問題に分けられるので、それに合わせたアプローチを考えないといけません。
神経外の問題というのは、メカニカルインターフェースとの間で起こる機械刺激による疼痛を指します。
臨床的には手根管症候群や坐骨神経痛のように、神経外の問題が多いと思うので、こちらに対しては神経とメカニカルインターフェース間の滑走性を引き出すことがポイントになります。
対して、神経内の問題には、神経自体の弾性が低下するため、神経の伸張性を引き出すようなアプローチが必要となります。
ただ、両者の病態が混在している可能性も考えないといけません。
神経モビライゼーション
末梢神経へのアプローチの1つに神経モビライゼーションがあります。
末梢神経の感受性、伸張性、運動性を改善する手技であり、疼痛や痺れの改善、二次的障害の予防を目的とするものです。
神経線維や結合組織、それに関わる他組織に起こる何らかの問題による神経伝導性の低下や圧迫、虚血、痛みといった問題を改善するために神経モビライゼーションが用いられます。
神経の滑走を改善することで、神経を構成する結合組織の圧迫を開放し、伸張しやすくするということですね。
ここでは、sliderとtensionerと呼ばれる方法を用います。
Slider
sliderは末梢神経の滑走を促すもので、一方を緩め、もう一方を伸張させる動きを繰り返します。
坐骨神経に対するsliderでは、臥位で膝を立て、骨盤後傾-頚部伸展、骨盤前傾-頚部屈曲を繰り返します。
Tensioner
tensionerは末梢神経を最大限に伸張させる方法でsliderより負荷は高いです。
坐骨神経に対するtensionerでは、骨盤後傾-頚部屈曲、骨盤前傾-頚部伸展を繰り返します。
股関節や膝関節の屈曲角度を強めることで、より伸張を強めることもできますが、対象者に応じて調整しましょう。
ただ、神経モビライゼーションのエビデンスはあまりないのが現実です。
2008年のシステマティックレビューでは、10のRCT全てにおいてNMによる介入効果は不十分か極めて限定的としています(Richard F Ellis, 2008)。
ただ、頸部と上肢の痛みを認める症例に対して、神経モビライゼーションを実施した群としていない群とで経過を追うと、実施した群ではしていない群と比較し、6か月で大幅に疼痛が改善したとしています(Cato Annalie Basson, 2020)。
このように、効果が認められたとする報告もあれば、ないとする報告もあるので、神経モビライゼーションの効果は絶対的なものではないことは頭に入れておく必要はあります。
SliderやTensionerを単独で使うというよりは、ピラティスでエクササイズを指導する際に、ついでに神経の滑走や伸張も考慮して行うのが良いと思います。
まとめ
- 坐骨神経痛とは別名、梨状筋症候群とも言われ、坐骨神経が梨状筋による圧迫を受けることで、大腿後面から下腿にかけて症状が出現する
- 病態としては、周囲組織による圧迫で起こる坐骨神経の可動性の低下および欠如による虚血性神経障害
- 症状としては、坐骨神経の分布域に放散する神経痛で、神経の走行に沿って痛みを感じる
- 神経の圧迫=痛みではなく、神経が損傷した場合か神経が炎症を起こしている場合に痛みが起こる
- 神経上膜が圧迫や摩擦を受けると、神経上膜に浮腫が起こり、血管が圧迫され、神経への血流が低下、神経への酸素、栄養の供給が不足する
- 神経外で炎症が起こると、炎症が神経周膜、神経束内まで波及し、nervi nervorumが感作、活性化することで、機械刺激に対して敏感になる
- 坐骨神経は大腿後面の筋、下腿と足部の全ての筋、および下腿と足部のほとんどの皮膚に分布している神経
- 坐骨神経と梨状筋の走行には個体差があり、最も多いのが坐骨神経が梨状筋の下を走行するパターン
- 梨状筋にも個体差があり、上双子筋や内閉鎖筋、中殿筋と癒合している場合がある
- 梨状筋による坐骨神経への影響のポイントは、筋肥大や緊張による坐骨神経の圧迫・前方への牽引と関節運動に伴う梨状筋の緊張あるいは伸張による坐骨神経の圧迫
- 坐骨結節と小転子間が狭くなることで、大腿方形筋が挟み込まれてインピンジメントを起こすことがある
- 坐骨神経はハムストリングスの起始部の外側を走行するため、そこで炎症が起こると影響を受ける可能性がある
- 坐骨神経による影響を評価するには、神経の滑走性や梨状筋を伸張、あるいは機能を評価する
- 坐骨神経への介入としては、坐骨神経の滑走性、伸張性を改善することがポイント
今回は坐骨神経の病態や症状を坐骨神経と周囲組織の機能解剖から解説しました。
よく誤解してしまうのが、神経が圧迫されるから痛みというものですが、それは1つのきっかけにすぎず、圧迫が直接痛みに繋がるわけではないことも神経の機能解剖から解説しました。
ピラティスにおいても、こういった機能解剖からどこを伸ばして、どこを機能させるのかをよく考えて指導する必要があります。
坐骨神経痛は珍しい症状ではないので、本記事を参考に対応できるようにしていただけたらと思います。
参考文献
1.Hopayian K et al : Four symptoms define the piriformis syndrome: an updated systematic review of its clinical features. Eur J Orthop Surg Traumatol. 2018;28(2):155-164.
2.Beaton L E et al : The relation of the sciatic nerve and of its subdivisions to the piriformis muscle. Anat Record. 1937;70:1-5.
3.Danny Mangual et al : The effect of total hip arthroplasty on the sciatic nerve : an electrodiagnostic evidence study. P R Health Sci J. 2020;39(3):254-259.
4.Richard F Ellis et al : Neural Mobilization: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials with an Analysis of Therapeutic Efficacy. J Man Manip Ther. 2008;16(1):8-22.
5.Cato Annalie Basson et al : Effect of Neural Mobilization on Nerve-Related Neck and Arm Pain: A Randomized Controlled Trial. Physiotherapy Canada. 2020;72(4):408-419.